2009年10月22日

流し紗綾形のテーブルセンター

久しぶりの刺し子作品のアップです。

オーダーメイドのご注文をいただいたテーブルセンター。
布やサイズ・大まかなデザインの指定はありましたが、刺し子部分についてはお任せということだったので、以前から気になっていた紗綾形模様を刺すことにしました。
少し角度をつけた「流し紗綾形」です。

Sayagata table runner(3).jpg

この紗綾形模様、16世紀後半に明から輸入された「紗綾」という絹織物にこの文様が用いられていたことからこう呼ばれるようになったそうです。それ以降、綸子などの地紋にはほとんどこの紗綾形が使われるようになりました。

以前にこちらで紹介したイギリス人の刺し子作家、Susan Briscoeさんの著書(The Ultimate Sashiko Sourcebook)の中に、紗綾形についての面白い指摘がありました。
「紗綾形はシルクロードを通じて古代ギリシャから中国に伝わった。確かに紗綾形は多くのGreek key patterns(ギリシャの鍵の雷門模様)に似ている。」(90頁より)

紗綾形の模様から優雅さと品格を感じるのは、どこか古代ギリシャの雰囲気を残しているためなのかもしれません。


今回はそんな紗綾形の歴史に想いを馳せながらデザインを考えました。
紗綾織の絹織物をイメージして糸は光沢のあるものを選び、両端には菊刺しを施して房を付けました。

Sayagata table runner(1).jpg

納品を終えて、お客様の感想をいただくまでは、毎回ドキドキです。

2009年10月14日

秋の高山祭

日本三大美祭の一つと称させる高山祭。私も見るのは今年が初めてなので、とても楽しみにしていました。

夫の仕事が終わるのを待ち、さっそく二人で日が暮れてから行われる「宵祭」に繰り出しました。
向かうは桜山八幡宮の表参道。そこから提灯を灯した10基の屋台が順番に出発し、ゆっくりと町を一巡します。

Takayama festival (autumn)-1.jpg

屋台内部では、童子達による笛と太鼓の屋台囃子が奏でられ、その屋台を曳く氏子たちも、それぞれの組ごとに意匠を凝らした装束を纏い、さながら絵巻物のようでした。

なかでも、烏帽子に直衣という、お公家様装束の「大八台」にはうっとりとしてしまいました〜ぴかぴか(新しい)
その浮世離れした出で立ちに、ほろ酔いだったこともあって私はすっかり夢心地に・・・。

Takayama festival (autumn)-2.jpg

今まで、東京下町の威勢のよい、賑やかなお祭りばかり見てきたので、このように静かで幽玄なお祭りは初めてでした。

「雅」という言葉が本当にぴったりとくる、そんなお祭りでした。

2009年10月07日

きのこ狩り

ひょんなことから地元のきのこ採り名人の方と知り合いになり、ずうずうしくもさっそくキノコ狩りにお供させていただきました。
軽自動車に道具を積み込み、高山の市街地を抜け山の間を走ること30分。さらに未舗装のガタガタ山道を大きく揺られながら登っていきます。
着いたところは、しんと静まり返った広葉樹林の森の中。いまだ開発の手が入っていない、昔のままの自然の森です。

mushroom hunting -1.jpg

森に入る前に、まずは爆竹を鳴らします。熊などの動物を追い払うためです。
静かな山中に響き渡る爆竹の音は狩りを始める前の儀式のようでもあり、いざ!と身が引き締まります。
この他にも名人は腰に熊避けの鈴を付け、チリンチリンと音を出しながら森の中を歩いていきます。
きのこ探しに夢中になるあまり、気付くと周りに誰も見えなくなって焦ることが何度かありましたが、その鈴の音のおかげで迷子にならずに済みましたあせあせ(飛び散る汗)

私にとっては初めてのきのこ狩り。山の斜面を這い降りたりよじ登ったり、もう付いて行くだけで必死でした。普段の運動不足がたたって2時間もするとヘトヘトになってきましたが、きのこを見つけた瞬間はそれはもう嬉しくて、疲れが一瞬で吹っ飛んで思わず走り寄ってしまいます。

下の写真は、落ち葉の間から顔を出すホンシメジ。
この可愛らしい姿を見たら、疲れが吹っ飛んでしまうというのもお分かりいただけると思いますわーい(嬉しい顔)

mushroom hunting -2.jpg

午前中の3時間で、たくさん収穫がありました。
それも全て食用きのこの王様、ホンシメジですぴかぴか(新しい)
きのこ名人の方も、「一日でこれだけの量のホンシメジを採ったのは初めてだ!」と驚いていました。
そんな日にご一緒できた私は本当にラッキーでした。「初めてにしてはきのこを見つけるのが上手!」と褒めていただきましたが、おそらくビギナーズラックのようなものだったのでしょう。

mushroom hunting -3.jpg


「香り松茸、味しめじ」と言われているだけあって、天然本しめじの味は本当に格別でした!
まずはソテーにしてしめじの食感と香りを存分に味わい、残りはリゾットに入れていただきました。
香りが強くいいだしも出るので、どんなふうに調理しても美味しいものができます♪

念願だったきのこ狩り。
自然の恵みに大いに感謝!の一日でした。

2009年09月09日

鍋で炊くごはん

高山に引っ越して、およそ1ヶ月が経ちました。
でもまだアメリカからの荷物が届いていないので(船便なので約1ヶ月半かかります・・・ふらふら)、最低限必要なものだけで暮らす屋内キャンプのような生活が続いております。

とりあえずの煮炊きができるよう、友人から大・小の鍋を一つずつ借りました。大きい方は見慣れない形でしたが、無骨でありながらも洗練されていてなかなか私好みのデザイン。どことなく、昭和30年代頃に炊飯用として使われていた「文化鍋」にも似ています。
ちょうど電気炊飯器もなかったので、試しにその鍋でお米を炊いてみることに。

Bunka-nabe.jpg

さっそく炊いてみたところ・・・、驚くほどに美味しかったです!
昔から、ガスで炊くご飯が美味しいというのは聞いたことがありましたが、これ程とは! しっかりふっくらピカピカに炊き上がります。
あまりの美味しさに、最初は塩だけつけて食べてました〜。
3合炊いたとしても、炊き始めから蒸らしまで入れておよそ30分ですから、電気炊飯器よりもはるかに速く炊き上がります。

cooked rice.jpg

偶然にも、引越しのプレゼントに友人から陶器のお櫃をいただきました。
またまた驚いたのが、お櫃に入れておくと、冷めてもなおお米が美味しい!
炊きたてのご飯の水分をお櫃が良い具合に吸ってくれて、一日中モチモチのお米が食べられます。人肌くらいに冷めたご飯の方が、個人的には好きかも・・・わーい(嬉しい顔)

ohitsu.jpg

電気炊飯器と電子レンジがないことから、必要に迫られて「ガス炊飯&おひつ」という生活を1ヶ月続けているわけですが、特に不便は感じていません。
ガスの火加減が面倒なのかな〜と最初は思ったのですが、
「ガスを付ける(強火)→ 沸騰したら中弱火 → 湯気が出なくなったら極弱火で5分 → 一瞬強火にした後、火から下ろして10分蒸らす」
と、ガスのつまみに触るのは計4回。蒸らしの時間を除くと、炊いている時間は正味20分程です。慣れてきたら、味噌汁や他のおかずを作ったりしながらチョチョッと出来るようになりました。
ほとんど湯気が出なくなった頃に鍋に耳を近づけると、チリチリぱちぱちという乾いた音がかすかに聞こえてきます。その音を聞くのも、ちょっとした楽しみです。

来週に荷物が届いたら、この鍋は友人に返さなければなりません。
以前から持っている電気炊飯器で炊いてみて味が大きく違うとなれば、炊飯鍋を買ってもいいかな〜と思案中です・・・。

2009年09月03日

朝市

最近は毎日のように朝市に行っています。
朝採りの新鮮な野菜がとても安く売られているので、ついつい覗きたくなってしまうのです。

market.jpg

朝市でお店を開いているのは主に地元のおばあさん。野菜や果物の他に、自家製のお漬物がずらりと並びます。同じ野菜を使ったものでも、それぞれのおうちで味が全く異なるのがおもしろいですね。毎回違うお漬物を試しているうちに、漬物大好きになってしまいました。
ご飯にもお茶請けにもお酒にも合う漬物って、素晴らしい!

さて、今日は「甘長」を買いました。
辛くないとうがらしで、ししとうに似たお味だそう。ちなみにこの量で100円でした。
おばあさんにお薦めの調理法を訊くと、「炒めた後に甘辛く煮ると美味しいよ〜」とのこと。さっそく今晩作ってみようと思います。

amanaga.jpg

高山ではなんと一年を通じて毎日!朝市が立ちます。
旬の野菜が移り変わって行くのを見るのがこれからとっても楽しみです。
そろそろキノコの季節ですね〜。密かに初物を狙ってます・・・わーい(嬉しい顔)

2009年08月26日

新生活

無事に引越しを終え、いよいよ日本での新生活が始まりました。

私達が新天地として選んだ場所、それは四方を山に囲まれた、昔の城下町の面影を色濃く残す町、岐阜県の飛騨地方に位置する高山市です。飛騨の小京都とも謳われる、とても風情のある美しい町です。

nakabashi bridge 8-25-2009.jpg  old private houses.jpg

生まれ育った場所もアメリカでの住まいも、山とはまるで縁のない地域だったので、「何処を見ても山」という景色は私にとってはとても新鮮です。大きなものにしっかりと守られているような安心感を憶えます。
今の季節は山の緑が青々としていて、空も爽やかに澄み、買い物の途中に足を止めてその景色に見惚れることもしばしば・・・。

景色だけでなく、この地で暮らす人々の生活の様子にも驚き、感心することが多いです。
今はまだ不慣れで分からないことばかりですが、少しずつこの土地にも馴染んでいきたいと思っています。

view from Denver park.jpg

2009年08月05日

こぎん刺しのブックカバー

kogin book cover (1).jpg

製作中のあるものとはブックカバーでした。
いつでもどこでも文庫本を持ち歩いている母からの頼まれものです。

ひとつ作って慣れてきたところで、もう一つ色違いで作りました。
二つ目を作る時は、同じ模様だったこともあり、一つ目よりもずっと短時間で楽に刺すことができました。写真を見ても、初めて刺した方(オレンジ糸の方)は糸こきがうまくできておらず布が少し寄っていますねふらふら 
刺し子でもこぎん刺しでも、やはりいくらか糸に余裕を持たせてふっくらと刺していった方が、刺繍部分がやわらかくなっていい感じに仕上がるようです。


今回もう一つ初挑戦したものが、「結び」。
初めてなので簡単なものを作り、しおりとしました。
ちなみにこの結び方は「吉祥結び」というそうです。延命長寿を意味するおめでたい結びです。

参考にしたのはこちらの本。
結びをあしらった美しい色使いの小物がいっぱいで、見ているだけで夢心地になれますかわいい

musubi book.jpg

結びでつくる きもの小物

2009年07月23日

初めてのこぎん刺し

引越しの日も決まり、準備作業も取りあえずは一段落つきました。

そんな少し気持ちに余裕ができた時に、どうしても出てきてしまうのが縫い物欲わーい(嬉しい顔) ちくちくと刺し子をしたいところですが、製図道具など細々としたモノは全てまだアメリカの家に置いたまま・・・。そこで、思いきって以前からしてみたかった「こぎん刺し」に挑戦してみることにしました!

さっそく手芸屋さんでオリムパスのこぎん糸とコングレスを購入。先日入手したこちらの本を参考に、見よう見まねで刺してみました〜。

コングレスはさすがに刺繍専用布だけあって、目が非常にはっきりとしていてとても刺しやすいです。そして、布の織り目を数えながら刺していく「こぎん刺し」はなんとなく編み物に近いように感じました。同じ刺す作業でも、等間隔で運針をしていく刺し子とはまた違った感覚です。 

ですが、刺すことに没頭してしまうという点では全く共通していて、楽しさのあまりなかなか止めるタイミングが見つかりません! もう一段、もう一段だけ・・・と刺し進めていくうちに、気が付くと何時間も経っていたりします。

いまの段階の写真はこちら。現在、母に頼まれてあるものを製作中です。

kogin(orange).jpg

完成したら、またこちらでご紹介したいと思います!

2009年07月14日

ご報告

しばらく更新が滞ってしまいました。
いつのまにか梅雨も明け、気付けばもう真夏。朝から蝉の鳴き声が響いています。

6月末に夫が来日してからの2週間、目が回るほどに忙しい毎日を送っておりました。
感覚的には1ヵ月程の時間が過ぎたような感じがしています・・・。

さて、突然のご報告となりますが、夫の転職に伴い、この度アメリカから日本へ引越しをすることになりました! もともとは帰省のつもりだったので帰りの飛行機のチケットも取ってあったのですが、引越し準備のため私はこのまま日本へ残り、夫は一旦アメリカに帰って家や仕事のことを片付けてくるということになりました。
あまりの急展開に今はまだ少し呆然としていますが、8月の引越しに向けてやるべきことがたくさんあります。

そんな訳でバタバタとしており、落ち着いて縫い物ができるのは9月以降になってしまいそうです。
それまでの間、ブログの方はできるだけ更新していきたいと思っておりますので、今後ともまたよろしくお願い申し上げます。

2009年06月19日

蚊絣のタイパンツ

実家に置いてあった自分の荷物の中から、古い男物の木綿の着物を見つけました。
けれども、いつ頃どこで購入したのか、自分でも全く記憶なし・・・ふらふら
とりあえず羽織ってみると、丈が短くて着物としては着られない。でも生地の状態はとても良い。模様も私の大好きな蚊絣。
ということは、きっと当時の私が生地を再利用しようと思って買っておいたのでしょう。
そう思うことにして、さっそく着物を解き、以前から作ってみたかったタイパンツに仕立ててみました。

自分の持っていたパンツの寸法をざっと測り、要らない紙を使ってまずは型紙を作りました。昔の着物なので布巾が34cmしかなく、それに合わせて型紙を少し削ったり、接いで作ったりした箇所もあり、元にしたパンツよりも少し細身のものになりました。

Thai pants (pattern).JPG  Thai pants -2.JPG

いくらか細身といっても、そこはタイパンツ。
ゆるゆるゆったり快適です♪ 布も程よく着古されているので、肌触りも柔らかい。

今回タイパンツを作って気付いたことは、股の部分以外は全て直線断ちということ。
布を曲線に切ることにとても抵抗がある私でも、気持ちよく作ることができました。ひたすら直線を縫っていくのも、着物を縫っている感じでとても楽しかったです。

制作時間は手縫いで10時間程。今回は縫い代をすべて「折り伏せ縫い」で処理したので、その分時間がかかってしまいました。ポケットやベルトループを付けても便利かも・・・と、まだまだ改良の余地がありますが、まずは初めてのパンツ作りに満足していますわーい(嬉しい顔)

2009年06月11日

和綿の種

日本滞在も2週間が過ぎました。友人と会ったり、刺し子物の材料などを探したりしながら過ごしていたのですが、思いがけずその間に和綿の種が手許に集まってきました。

はじめは、後学のためにと見に行った全国古代織展で。
そこで展示をしていらした手紡木綿の作家の方とお話をしていたところ、話が布や染色のことから綿花栽培へと移っていき、「今日は最終日なので、よろしければどうぞ・・・。」と展示されていた綿花を下さいました。その綿花は、伯州綿(はくしゅうめん)という三百年前から鳥取県の弓ヶ浜で栽培されてきた日本古来の和綿なのだそうです。

cotton.JPG

このふわふわの綿の中には種がたくさん入っています。
ヘタの付いたままの綿花を見ると、改めて「植物がこのような繊維を生み出してくれるなんて本当にすごい!」と感心してしまいます。


次に種に出会った場所は、念願叶ってついに今年行くことができた松本クラフトフェアで。
和棉の栽培を守り続ける伎倍幡(きべばた)本舗さんのブースで和綿に関する色々なお話を聞くことができ、ご自身で栽培されている和綿の種をそこでも分けていただきました。

kibebata-honpo.JPG

写真は綿繰りの実演をされている寺田徳五郎さん。
作業の最中は動きが速いので、どうしても画像がぶれてしまいます。
綿繰り車に通された後の綿には、まるで絹のような光沢がありました。


上に述べたお二人のお話を聞くうち、次第に、自分でも和綿を栽培してみたい!という気持ちが強くなりました。
綿が集まれば、それを紡いで、織って・・・と夢は膨らみます。でも今は刺し子に専念したいしなぁ・・・と、独り心の中で葛藤。

そんな私の心を見透かすように、寺田さんが仰いました。
「とりあえず育ててみて、収穫したものを4年か5年のあいだ取って置けばいい。たくさん溜まってきたらそれを紡いでもいいし、布団や座布団の中綿にしてもいい。」

寺田さんが最後に仰った、
「昔はどこの家でもそうやって綿を育てて溜めておいて、娘がお嫁に行く時にはその綿で布団を作って持たせてやった。それが日本のしきたりだ。」
という言葉が心に響きました。

2009年06月03日

ショック・・・。

先日コメントを下さった方からの情報で、今年の4月に雄鶏社が倒産していたということを知りました。

雄鶏社といえば、言わずと知れた手芸図書出版の老舗です。
手芸が好きな方であれば、まず雄鶏社の本はお持ちなのではないでしょうか。かくゆう私も、持っている刺繍関係の本はほとんどが雄鶏社のものです。学生の頃に刺し子に興味を持って以来、雄鶏社の本にはずっとお世話になっていました。何度となく開いているので、中には中綴じがはずれてボロボロになっているものもあります。

今更ながら、信じられない。という気持ちでいっぱいです。
とても丁寧に作られた本を比較的安価な価格で販売していて、手芸を愛する広くて堅いファン層に支えられていると思っていたのですが、自己破産とは・・・。
本当に悲しい、寂しい、悔しい。
真面目に良質な本を作っていた出版社ばかりがどんどん潰れていきますね。
編集者の方々の無念はいかばかりか・・・と思います。

今後はどうなるのでしょうね。
どこか他の出版社が版権を買い取って、再度出版できるようになるといいのですが。あるいは京都書院のように、在庫だけの販売を続けていくとか・・・。


先日さっそく、日本に来たら買おうと思っていた、雄鶏社のこぎん刺しの新刊を探しに走りました。なんとか入手できた本はこちら。

kogin book.jpg
津軽に伝わるやさしい手仕事 こぎん刺し


とても素敵な表紙ですね。
こんなにきれいな本を出してくれる出版社がなくなってしまうのは、本当に残念です。