2008年12月11日

Gee's Bend Quilt

アメリカではキルト作りが非常に盛んです。
こちらに来るまで一度も実物を見たことがなかった私も、だんだんとキルトの世界に興味を持つようになりました。特に興味があるのは、やはり手縫いのキルト。現在ではもう手縫いのものに出会うことはめったにありませんが、たま〜に拝見できる機会があると真剣に見入ってしまいます。

そういった古い手縫いのキルトに興味を抱いている私に、友人があるユニークなキルトを教えてくれました。それはGee's Bend Quiltと呼ばれる、アメリカ南部のアラバマ州にある黒人居住地域(Gee's Bend)に住む女性達が作った、アフリカンアメリカンキルトです。

The Quilts of Gee's Bend.jpg
The Quilts of Gee's Bend

この本の表紙に使われているキルトは、Annie Mae Youngさんによる1976年の作品。
よく見ていただくと分かるように、青の濃淡の部分は古いジーンズを繋ぎ合わせて作ってありますがく〜(落胆した顔)
制作者ごと、素材ごとに掲載されている作品の中でも、そのWork-clothes(作業着)のカテゴリーの作品群は圧巻!そのものすごい迫力に圧倒されて、誰もが言葉を失うことと思います。
その他の作品も、どれもインパクトのあるものばかり!
抽象画のような前衛的で大胆な構成。強烈な色彩。アシンメトリー(非対称)の感覚。
キルトを見て、これほど驚愕、感嘆したのは初めてのことでした。

そして特筆すべきはその即興性。家族の古着や作物用の袋など、あり合わせの布をリズミカルに継ぎ合わせていき、手本もなく、反復もない、一度限りの表現。真っ直ぐでない布のラインや不揃いの針目には今にも動き出しそうな躍動感があって、私は真っ先に、同じくアフリカにルーツを持つジャズ音楽を思い浮かべました。

Gee's Bend は、現在でも地図に載っていない、アラバマ州にある当初の奴隷だった人々の末裔が暮らす地域です。(Gee's Bendという通称名は、19世紀初頭のこの土地の地主の名前からきていて、「Gee氏の所有する川間地帯」というような意味)
三方を河に囲まれていて外部との交流があまりない地域だったために、長い間アフリカの文化が継承されていたのではないかと言われています。

ヨーロッパ系の伝統的なパターンを丁寧に縫い合わせた端正なキルトに対して、アフリカ系の人々のダイナミックなキルトは、その構成・色使いにおいても、その作る過程においても、まったく異質の美と文化を見せてくれます。
その力強く、色鮮やかでリズミカルなデザインからは、仕事や家事に明け暮れながらも創作の喜びを見出し、たくましく生きる女性達の姿が目に浮かんできます。

今回紹介したこの本の素晴らしいところは、作品のひとつひとつに対して、制作者の写真と共に、作品にまつわるエピソードや自分達の生い立ちが彼女達の言葉で書かれていること。
本を開く度に、彼女達に喝を入れられて、非常に励まされる思いがします。 


これらのキルトの展示会が、2002年からアメリカ各地の美術館を巡回しています。スケジュールはGee's Bend Quilt公式サイトのNews and Eventsのページに載っています。
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